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くそったれの人生

2021.10.21 短編小説

男はみかんの皮を強く握りしめた。

この物語は、決していい人間とはいえない、一人の男の物語である。

この男の朝は小鳥の囀りと共に目覚めるはずもなく、

ゴミ収集車の「ゴー、ゴー」という憎らしい音色で目覚める。

朝は強く、仏壇の水を代え、手を合わす。

心ではなにも考えていない。

ただの習慣なのである。

次に荷物を玄関にまとめ、ベッドのシーツにコロコロをかけ、

トイレを済ます。

もう体がそうなっているようだ。

トイレの後はサプリを飲んで、

コーンフレークを流し込む。

雑な一日の始まりである。

新聞を広げた。

一応新聞には目を通すようだ。

しかし文字は読まない。

ただの習慣なのである。

「チッ」、舌打ちを連発する。

新聞を眺めながら、舌打ちを連発する。

コーヒーが飲みたくなり、お湯を沸かす。

沸くのを待つのが嫌いである。

新聞を見終わると、コーヒーを飲み、靴を履き鞄を持った。

では、仕事に向かう。

会社までは車で10分程度。

この男の仕事は金貸しのようである。

車をバックで停め、会社のドアを握る。

下を向き、靴の汚れを気にしながら、

舌打ちを叩いた。

「おはようございます。」

仕事の始まりである。

 

(続)

 

 

 

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