2020.05.09 すべてはここから
二匹のカラスがこちらを睨んで飛んで行った。
私は、お坊さんとして話しをさせていただいたり、
葬祭のスタッフとしてご相談を受けさせていただいたり、
成年後見制度推進の一員として講演したり、
終活カウンセラーとしてアドバイスをしたりなにかと活動を続けていた。
そんな折、私の中でひとつの想いが湧き上がっていた。
今まで私はお客様との出会いは遺体だった。
言い方は悪いが、死んでから私と関わる。
私は、その遺体がどんな人柄だったのか、どんな人生を歩んできたのか、
どんな生様で、どんな死様だったのか知るすべもなかったし、
知る方法としては遺された家族に聞くことでしかなかった。
私はその遺体が生きているときに出会いたかった。
出会いたくなっていった。
感覚が異常なのかもしれない。
しかし、生きているときに、生があるときに関わりを持つ。
そのことを望むようになっていった。
その人生が進行形のとき私も1ページに関わり、記憶に遺せていけたら。
そうだ、介護の仕事なら関わりをもてるんじゃないか。
単純で無知である。
しかし私の心は動き始めた。
ここから私の介護事業への準備が始まっていく。
ちがうカラスが二匹こちらを睨んでいた。
【18へ続く】