2020.05.15 ご葬儀
そのおばあちゃんとの出会いは、ご主人のお葬式の依頼。
冗談が好きで、いつも笑っていたおばあちゃん。
ご主人のお葬式が終わってからも、法要や、初盆、お位牌や、お墓のご相談まで、なんでも尋ねてきてくれた。
「あなたがいるから安心して、準備ができます。」
よくそう言って、電話をくれました。
私も、おばあちゃんとお話しするのがとても楽しみだった。
「私、県外に行くことになった。」
そう、私が言いに行った時、
「これから、私はどうすればいいんですか?
私のお葬式のときは、あなたにお世話して貰おうと決めてるんですよ。
いつ帰ってくるんですか?」
「すぐには帰れないけど、必ず帰るから、それまで元気に待ってて。」
そういい残し、私は県外に出た。
数ヶ月が経ち、1本の電話。
「もしもし、元気にしてますか?いつ帰ってこられるんですか?
首を長くして待ってますよ。」
また数ヶ月が経ち、
「もしもし、元気にしておられますか?いつ帰ってこられるんですか?」
そのたび私は、「ん~まだかな~。まだかな~。」
「そうですか。」
・・・ごめんなさい。
登録していない電話番号で着信があった。
「もしもし、母がいつもお世話になっております。突然の電話ですみません。」
「どうされました?」
「・・・母が危篤で。ずっとあなたに会いたいと申しておりまして。」
「・・・」
「すぐに行きます。」
高速を走っていると、また着信。
「さっき、母が・・・。」
間に合わなかった。
久し振りに自宅のいつものベッドで寝ているおばあちゃんは、とても安心した顔をしていた。
「帰って来れなくてごめんなさい。ごめんなさい。」
蝉が、震えながら泣き叫んでいた。