お葬儀のお仕事に携わって早2年目。
たくさんのご家族の最後のお別れをお手伝いをさせて頂く中で、その絆に涙したり、語ってくださる思い出に笑いあったり。それぞれのお別れに、同じものは1つもありません。
今日はその中で、あるご夫婦のお話を紹介したいと思います。
奥様が亡くなられ、喪主をつとめられたご主人様は寡黙な方でした。最後のご出棺前、ご家族でお花を手向けられていた時の事です。娘様が手紙をそっと故人様(奥様)のお胸元に忍ばせ、「これは大事なものだろうから」と微笑まれました。
新しくはないその封筒を見て、「なんの手紙だ」と喪主様が尋ねられました。
「お父さんがあげた手紙だよ。お母さんずっと大事にとってたみたい。昨日整理してたら見つけたの」と娘様が答えられると、喪主様は「え!」とその手紙を見つめた後、少し照れくさそうに「母さん、ありがとうな」とお棺のなかで眠っておられる奥様にお声をかけられました。
ご夫婦の絆に、その場にいた皆があたたかい気持ちになったお別れでした。