「誰かを介護する」という現実は、誰の身にも起こりえます。
親、兄弟、配偶者、子供等その対象は様々ですが、誰しもがぶつかりうる可能性があるのです。一言に「介護」というと、世間一般では“つらい”“大変そう”などどいうマイナスなイメージがついてきます。弊社も訪問介護の事業をさせて頂くにあたり、実際にご家族の苦労や葛藤に触れ、その難しさも感じております。
しかし、ある日突然に、「介護」に終わりが訪れる事もある。その対象者が亡くなってしまうという形で…
先日お葬式をされたご遺族様のお言葉が、とても心に刺ささるものだったので、今日はそれをご紹介します。
その奥様は、長くご主人の介護をされていました。
朝起きてから夜眠るまで。ご主人の様子が気になれば、寝ずについている事もあったそうです。入退院を繰り返されながら、ご主人を中心にまわっていく日々。もちろん、つらい事もあったそうです。ですが時折ご主人が見せる笑顔に救われながら、長くその生活を続けておられました。
そんなある日、容態が急変し、ご主人が亡くなりました。
弊社でお手伝いさせて頂くあいだも、奥様はずっとご主人のそばに付き添われていました。ただずっと、ご主人のお顔に触れられていました。そして、こう仰ったのです。
「私は、もうずっと主人中心の生活を続けてきました。介護は私の生活そのものだったんです。その主人がいなくなって、私はこれからどう過ごしていったらいいのか分かりません。私はこれから何をすればいいんでしょう。この虚無感をどうすればいいんでしょうか。」
世間一般で、“つらい、大変なもの”と認識されている「介護」。
しかしその介護が終わり、解放されると感じる人もいれば、今回の奥様のように虚無感におそわれる人もいるのです。
「介護」への手助けはもちろん、その後のケアも大切だと思った出来事でした。